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観世流能楽師:武田志房氏

武田志房 (たけだ ゆきふさ): シテ方観世流 能楽師

1942年生。重要無形文化財総合指定保持者。故武田太加志の長男。父及び25世宗家・故観世左近に師事。社団法人観世会理事、現、顧問。1948年に仕舞「合浦」にて初舞台、1953年「花月」にて初シテ。観世流の重習曲18曲のうち「檜垣」「関寺小町」を除く、16曲を披き済。花影会、武田同門会、謳楽会、鳳鳴会など多数主催。

能には所作、謡、囃子などすべてに多数な型があります。我々のように能役者の家に生まれた者には、ごく幼い時分から舞台で必要となるさまざまな型を習得して行きます。「理屈より、まず型を徹底して身体に覚えさせること」修行の期間となります。能の型というものは、たとえ激しい感情であったとしてもごく簡略化されたものとして表現されますが、その感情を伝えるのは内面のちからです。能楽の祖である世阿弥は観客に感動を与える力を「花」と表現しており、能の奥義である「まことの花」は内面の工夫公案から生まれると説いています。しかし、その基本となるものはやはりきちんと型を身につけることでもあり、それなくして内面の充実はありません。これは我々能楽の世界だけでなく、広く現代社会に通用する考え方といってもよいかもしれませんね。